親会社である伊藤忠商事の強みである生地の調達網は、低ロット・高回転の生産体制を可能にし、ファミマの衣料展開を支えている。さらに店舗レベルでは、AIによる自動発注支援なども進めており、食品分野で培った“データ駆動型運営”を衣料領域にも横展開している。
こうした戦略的な仕組みづくりと運営効率の追求により、看板商品である靴下は累計2000万足を超える販売実績を記録。直近では、ショートパンツが累計20万枚、オーガニックコットン吸水ショーツも4万枚を売り上げるなど、派生アイテムのヒットも続いている。これにより、2023年度の衣料売り上げは前年比30%増の100億円超となった。
これら衣料の売上は、店舗当たりの客数や客単価を押し上げる要因としても、ファミマのIR資料で言及されている。
また、環境への配慮という観点でも動きは加速している。ファッション業界では廃棄の多さが課題とされるなか、ファミマは2024年から不要衣料の回収実証実験を開始。回収品は、状態の良いものは海外チャリティに、傷んだものはRENU原料として再生されるスキームを構築した。
こうした取り組みは、SDGsの目標年とされる2030年を待たずとも、「数分の買い物時間を社会貢献に転換できる」という点で、“便利”と“善意”を両立させるハイブリッドな価値提供と言えるだろう。
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