また、ライバルである韓国車や中国車に対して、日本車は品質の高さで勝負しています。これも日本車の強みです。なぜなら、アセアンやインドでも、「安かろう、悪かろう」というクルマは売れないからです。売れるのは「安くて良いクルマ」なのです。
例となるのが、2008年にタタが発売した10万ルピー(30万円弱)の激安カー「タタ」です。あまりの安さに話題となりましたが、結果的には、スズキの牙城を崩すことはできませんでした。また、2000年代終盤に、日産がエントリーブランドとしてダットサンを立ち上げて、いくつかの格安コンパクトカーを市場投入しましたが、やはり失敗しました。
日本と同じように、アジアでも、安ければいいのではなく、コスパがよくないとダメなのです。そういう意味で、インドの地で地元ブランドをおしのけて、コンパクトカーを売るスズキは、すばらしくコスパのよいクルマを作っていると言えます。
アセアンとインドという、これから成長してゆく国と地域で日本車の人気が高ければ、日本の自動車産業もまだまだ安泰ということです。
鈴木ケンイチ
モータージャーナリスト
1966年生まれ。茨城県出身。大学卒業後に一般誌/女性誌/ PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。年間3、4回の海外モーターショー取材を実施、中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
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