筆者は毎月のように「天一のスープを飲み干したい」という衝動に駆られ、そのたびに最寄りの店舗に飛び込んできた。今回、閉店する店舗にもよく足を運んだ。そこで少し前から気になっていたのが、「あまり店が混んでいない」という点だ。
例えば、神奈川県の川崎店は道路の向かいに「一蘭」があって休日などは長蛇の列ができているのだが、天下一品はわりと待たずにすんなりと入れる。しかも、すぐ隣にある町中華のほうが混んでいることもある。
ファン心理としては「ゆったりと食べられていいや」と思うこともあるが、天下一品という大好きなブランドの存続のためには「大丈夫かな?」とちょっと心配していたのだ。この不安が杞憂(きゆう)ではなかったことは、最近の店舗数を見れば分かる。
天下一品は2025年現在、全国で209店舗(5月26日時点)を展開している。では、2年前はどうかというと、2023年4月24日のプレスリリースを見ると、223店舗とある。この2年で、すでに14店舗も減っているのだ。
では、天下一品の店舗をここまで減らした要因は何か。フランチャイジーの「事情」うんぬんももちろんあるだろうが、天一ファンの立場から言わせていただくと、「ドロドロスープのつけ麺」が増えてきたことも大きいのではないかと思う。
ご存じの方も多いだろうが、人気つけ麺店の中には「濃厚魚介豚骨つけ麺」「特濃つけ麺」などとうたい、ドロドロ感のあるスープを提供する店が増えている。中には「濃厚」どころではなく、コーンポタージュ並に粘度の高いものもあって、「つける」というより「絡める」スタイルの店もある。
実は、これはかつて天下一品の「専売特許」だった。例えば、2023年6月発売の「こってりMAX」は「麺へのからまりもMAX。スープがたっぷり絡んだ麺をズズ〜っとすすっていくと、麺がなくなったときには、どんぶりにスープが残らないほど!」(天下一品の公式Webサイト)とうたっている。
つまり、競争の厳しいラーメン業界で“ドロドロ系つけ麺”が台頭してきたことで、天下一品の唯一無二感が薄れてしまっている恐れがあるのだ。
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