「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由スピン経済の歩き方(4/7 ページ)

» 2025年05月28日 09時10分 公開
[窪田順生ITmedia]

会社として得なのは天下一品かつけ麺事業か

 しかし、資金や人員はどうしても限られている。三田製麺所に経営資源を集中させるとなると当然、ポートフォリオを考え直さなくてはいけない。その結果が「天下一品フランチャイズの終了」だったのではないか。

 今回の天下一品の大量閉店を受けて、多くの専門家が「あくまでフランチャイジー側の事情であり、天下一品に客離れなどの問題が起きているわけではない」と解説している。しかし、その「事情」ははっきり分かっていない。

 これはあくまで筆者の個人的な見解だが、三田製麺所と天下一品の状況を見る限り、「天下一品のフランチャイズを続けるより、自社のつけ麺事業に注力したほうが得」という経営判断があったような気がしてならない。

 実際、三田製麺所は今の成長に満足することなく、さらなる「成長分野」へ乗り出そうとしているようにも見える。それは「油そば」だ。

人気「油そば」の「東京油組総本店」(出典:tablebeatsのプレスリリース、以下同)
油そば

 以下の記事からも分かるように、死屍累々のラーメン業界の中で、「油そば」は成長している。手間やコストのかかる「スープ」をつくらなくてよいこともあり、ラーメン店からの業態転換も少なくない。

 その代表例が、サッポロ実業(東京都豊島区)が運営する「東京油組総本店」である。この記事では約70店舗となっているが、公式Webサイトを確認したところ79店舗に増えていた。

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