各社の金融戦略は2025年が正念場となる。NTTは住信SBIネット銀行の連結子会社化が予定される2025年第3四半期以降、本格的な統合効果が問われる。ソフトバンクとSMBCグループの提携も今年度中に順次サービスが始まる予定だ。
金融サービスの規模面では各グループに差が生じている。PayPayの金融各社は他グループに比べると規模が小さく、ブランドの統一や連携策はドコモより進んでいるものの小粒だ。PayPay証券よりもマネックス証券の方が大きく、PayPay銀行よりも住信SBIネット銀行の方が規模で上回る。ドコモは一定の存在感のある各社を手に入れた形だが、問題はここからうまく連携・統合を進められるかだ。
特に大きな課題は、既存の住信SBIネット銀行ユーザーの離反を防ぐ移行戦略にある。住信SBIネット銀行は預金残高約9.8兆円、口座数約800万を持つ有力ネット銀行で、顧客はSBI証券との連携や、JALや日本ハムファイターズなどに銀行機能を提供するBaaSなど独自サービスを評価してきた。ドコモへの買収により、これらのサービスが変更されることへの不安は根強い。
実際、SBI側も既存パートナーとの関係維持を重視し、丸山明社長は「SBI証券との提携関係は基本的に維持する」と表明している。同時に、新規顧客獲得の7割を占めるNEOBANK(他企業と組んで銀行機能を提供するサービス)拡大路線も継続する方針だ。ドコモとしては、既存サービスの質を保ちながら、dポイント連携などの新たな付加価値をどう提供するかが鍵となる。
中長期的には、金融サービスとデジタル技術の融合度が勝敗を左右する。この点で最も統合が進んでいるのが楽天だ。楽天市場、楽天トラベル、楽天モバイルから楽天銀行、楽天証券まで、全サービスが楽天ポイントで連携し、顧客データも一元管理されている。だからこそ金融サービスとデジタル技術の融合度が他グループより強く、AI技術やデータ分析を駆使した個人最適化サービスで先行している。
NTTとソフトバンクは、パートナーとの連携でこの楽天の優位性にどこまで対抗できるか。次の一手に注目が集まる。
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