つまり、時代の変化に柔軟に対応し、変化を恐れずに攻め続けてきたからこそ、原液カルピスを100年も守ることができたのだ。
カルピスには根強いファンがいる。しかし、それを守るだけでは新たなファンが増えず、いずれ先細りしてしまう。老舗和菓子店が常連客の高齢化で廃業に追い込まれるのと同じだ。
だから、本当の老舗は新しいチャレンジを続けていく。「お、なんかおいしそう」と新しい客を取り込んで、リピーターとして定着させる。こうしたサイクルを回し続けてきたからこそ、老舗として生き残れたのだ。世の中には「守り」で事業継続できる殿様商売はそんなに多くないのだ。
そう遠くない未来、われわれのイメージを一新するような新しいカルピスが登場するかもしれない。そのとき、「こんなものはカルピスじゃない」「定番で十分、こんな邪道なのは買いません」などをボロカスに叩くファンがたくさんあらわれるはずだ。
だが、それは本当にカルピスブランドの成長と価値を考え抜いたうえでの戦略なのか。ネットやSNSでの反応に一喜一憂する前に、企業としてのブランド長期維持と消費者ニーズの本質を改めて見つめ直すことが求められている。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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