日本の国産うなぎは「ニホンウナギ」で、これはマリアナ諸島付近の海域で生まれた稚魚を日本で養殖したものだ。一方、中国産うなぎは、先ほど紹介したようにアメリカウナギの稚魚を世界中からかき集めてきて中国国内で養殖している。かつてはヨーロッパウナギの稚魚も同じように集められていたが、中国があまりにも買い占めてしまうので、EUは2010年から自主的に輸出を禁止した。そういう経緯もあって、EUとしては「そろそろ我慢の限界だ」というのが本音かもしれない。
愛国心あふれる方たちから、「また中国か! こういう国は国際社会で一丸となってガツンとやるべきだ」という怒りのシュプレヒコールが聞こえてきそうだが、そうした中国批判は、結局のところ日本にも跳ね返ってくる「ブーメラン」となり得るのだ。
実は日本人が食べているうなぎの7割は中国産だ。2024年のうなぎ供給量は約6万941トンで、そのうち輸入量が4万4730トン、国内生産量は1万6211トンにとどまっている。
確かに今、世界的な和食人気で、鰻の成瀬も香港や韓国などの海外進出に乗り出している。しかし、そうなっても最大の消費市場は日本だ。そこで中国が対日ビジネスとして「うなぎ輸出」に力を入れている。では、その「原料」であるシラスウナギはどこのものかというと、先ほど紹介したようにカナダやハイチなどでかき集めたものなのだ。
つまり今、われわれ日本人が牛丼チェーンやスーパー、コンビニで1000円くらいで「うな丼」や「うな重」を食べられているのは、中国が世界中でなりふり構わず「白いダイヤ」をかき集めてくれているからだ。
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