コメの次はうなぎが高騰? “白いダイヤ”争奪戦で、やっぱり日本は買い負けるのかスピン経済の歩き方(6/7 ページ)

» 2025年07月02日 08時58分 公開
[窪田順生ITmedia]

常識を覆す「うなぎ完全養殖」の研究開発

 シラスウナギの卵から成魚まで育てる「完全養殖」は技術的には可能だが、コスト面などで実用化は難しいとされてきた。しかし、この数年で「実用化まであと一歩」というところまできている。

 代表的な企業の一つが新日本科学だ。

 同社は1957年、日本初の医薬品開発業務受託機関(CRO)として鹿児島に誕生し、2014年にニホンウナギの人工種苗生産の研究開発を始め、2017年に生産に成功。2019年には鹿児島県の沖永良部島にうなぎの研究施設を建設している。

 そんな注目企業が今春、ニッスイと共同開発をすると発表した。実はニッスイも2001年にニホンウナギの人工種苗生産の研究開発に着手、2007年にシラスウナギの人工種苗の生産に成功したものの、2009年に研究開発を中断。その後はブリなどの養殖技術の開発に取り組んでいる。

 つまり、一度は「無念の挫折」をしたニッスイが、うなぎ完全養殖研究のリーディングカンパニーとガッチリと手を組んだ形なのだ。

新日本科学が飼育しているニホンウナギの稚魚(出典:ニッスイのプレスリリース)

 もちろん、この他にもさまざまなプレーヤーが「完全養殖」に乗り出している。有名なところでは「すき家」を展開し、リーズナブルな「うな丼」も提供しているゼンショーホールディングスだ。

 こちらも2019年に「一般財団法人 鰻の食文化と鰻資源を守る会(通称 うなぎ財団)」を設立し、多くの研究者と「うなぎの完全養殖」を目指して、研究プラットフォームの設置などに尽力している。

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