国も動いている。世界で初めてうなぎの完全養殖に成功した水産庁は2024年時点で、年間4万〜5万匹のシラスウナギを人工的に生産できる技術を確立したという。2050年までに、養鰻業者に供給する全てのシラスウナギを人工生産に切り替えることを目指している。
和食人気の高まりもあり、「UNAGI」は中国だけでなく、欧米でも人気を集めている。つまり、ニホンウナギが新たにワシントン条約の規制対象に加えられたら、中国だけではなく世界中で「白いダイヤ」の争奪戦が激化する恐れがあるのだ。
マグロが国際的な資源管理の対象となったように、こうした国際的な競争で、日本は価格で買い負けることが少なくない。つまり、日本人が安くておいしいうなぎを食べ続けるには、「完全養殖の実用化」を1日も早く確立するしか道はないのだ。
そうなれば、中国も日本の消費者のために世界で「白いダイヤ」をかき集める必要がなくなる。地球の生態系も守られるし、みんなハッピーだ。
「白いダイヤ」の争奪戦から開発競争へ。世界的にも評価の高い日本の養殖技術が未来を切り拓いてくれることを期待したい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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