なぜ備蓄米は「一瞬」で店頭に並んだのか 各社がスピード販売できた背景長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)

» 2025年07月03日 15時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

各社が「スピード販売」できた要因

 いち早く備蓄米を販売したアイリスオーヤマは、自社で精米工場を持っている。工場を竣工したのは2014年で、東日本大震災の復興支援をきっかけに建設した。精米能力は年間10万トン。熱に弱い栄養素を残し鮮度を保つ独自の精米技術「低温製法」を確立し、国際規格「FSSC22000」認証を取得している。傘下にホームセンターのユニディ、ダイシンを有し、店舗では食品の販売を行っており、米も取り扱う。

ホームセンター、ダイシン幸町店(出所:同社公式X)

 同社では5月26日、古古米1万トンを申請して27日に随意契約を結んだ。そこから29日に工場で精米を行い、31日には店頭販売を行った。価格は5キロで2160円だ。ユニディ松戸ときわ平店では65袋を用意し、あっという間に売り切れた。ダイシン幸町店でも95袋を用意したが、降雨にもかかわらず同様の反響があった。

機械化が進んだ精米工場(出所:アイリスオーヤマ公式Webサイト)

 同社には備蓄米の全量がまだ届いておらず、随時精米をして傘下のホームセンターとECで販売していく方針だ。備蓄米は、2025年度の新米が出回る8月中に販売するよう農林水産省が要請しているが、一気に運送できるトラックとドライバーが足りていないようだ。

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