背景にあるのは、言うまでもなく物価の高騰だ。コンビニの商品に割高感が強まり、消費者が離れつつある。もともと「コンビニは高い」と知ったうえで利用されていたはずが、今では「使わない」という選択が増えている。これはつまり、家計がこれまでになく厳しくなっているということだ。
コロナ以降の物価の急騰に賃金の上昇が追い付かず、消費者の実質賃金はほぼ減り続けていることはご存じの通り。図表2は厚生労働省の実質賃金の前年比推移になるが、ほぼ前年より減り続けていることが分かる。そして、企業規模が大きい会社の勤務者のほうが減少幅は小さい、ということは中小零細企業になるほど、このデータよりさらに厳しい数値で推移している、ということでもある。
2024年に政府が大号令を行って賃上げが進んだことは事実だが、それも大企業などに限った動きだ。中小企業についてはいまだ価格転嫁交渉の途上にあり、賃上げ原資の確保もできていない企業も多い。少なくとも現時点では、消費者の懐具合は二極化が進んでいるといえる。値上がりを気にしていない人もいる一方で、支出を見直し、切り詰めねばならない人もいて、後者の方が圧倒的に多数派だということである。
既に全国各地に普及し、13兆円弱の市場規模を持つコンビニは、この影響を受けざるを得ない。同じものなら安い店で買う、という選択をする人が増えれば、コンビニ支出は真っ先に見直すべき対象ではある。
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