現在、イトーキでは2回の実証実験を実施。働く場所や睡眠時間といった要因と生産性の関係を確認したところ
といったことが分かったという。こうした結果を受けて、湊氏はある気付きがあったそうだ。「オフィスづくりは〇〇な社員のために、△△な場所があった方がいいというような『仮説』を立てて進めていく。例えば、入社したばかりの新入社員や中途社員に伴走するため、一緒に作業するスペースがあった方がよいという仮説を立ててオフィスを設計した」(湊氏)
ところが、実際はそういったスペースはあまり使われず、ラウンジなど、気軽にコミュニケーションを取りやすい場所で一緒に仕事をしていることが分かった。湊氏は「これまでのオフィスづくりで立ててきた仮説が意外と間違っている」ことを実感したという。
生産性を可視化することには、オフィスづくりへの投資対効果が測定できるといったメリットがある一方、デメリットも存在する。例えば、生産性そのものが人事評価に反映されたり、よい数値を維持することが求められたりと、従業員の心理的安全性が脅かされる危険性がある。
湊氏は「あくまで生産性のスケールはオフィス単位」とした上で、「当社は人事コンサルティングを手掛けているわけではない。あくまで『生産性が高まるオフィスレイアウトをどう作るか』が最終ゴールだ」と話す。
イトーキは、今回の共同研究の結果を基に、顧客向け評価分析サービスとして展開することを視野に入れている。湊氏は「日本の人口減少が避けられない中、事業を継続するためには海外進出が必須だ。今回の生産性の関する研究は、海外進出の大きな足掛かりなるのでは」と期待を寄せる。イトーキと松尾研究所の共同研究は、オフィスづくりの新しい羅針盤となるか。
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