日立製作所、東武鉄道、ホテル向けセルフチェックイン機を提供する日本NCRビジネスソリューション(東京都品川区)が、ホテル業界のDXを推進していく。3社は、日立・東武鉄道が提供する生体認証サービス「SAKULaLa」(サクララ)を活用した、スタッフの省人化とホスピタリティの両立を目指す取り組みを始めた。
日本政府は「2030年に訪日外国人観光客6000万人」という目標を掲げている。ホテル業界では、インバウンドやビジネス需要が増加。チェックイン時に混雑や待機列が発生し、顧客を待たせてしまう状況が発生するなど、質の高いホスピタリティの提供が難しい状況だ。ホテルの新規建設も進み、サービスの品質を維持しながら、全ての顧客に提供することが急務となっている。
そんな中、従来のチェックイン機では、名前による検索、OTA(Online Travel Agent)から発行される二次元バーコード、会員アプリによる予約情報の表示など、入力やアプリの起動などに手間がかかる。今回、発表したのはスタッフの省人化とホスピタリティを両立するサービスだ。
サービスの第1弾として、指をかざすだけでチェックインと決済を完了できるセルフチェックイン機を、東武ホテルマネジメントが運営する宇都宮東武ホテルグランデに導入。8月5日に、顧客に向けて提供を開始した。
顧客は、予約番号などを入力しなくても、チェックインや決済ができる。予約情報を自身で入力する従来のセルフチェックイン機と比較すると、チェックインにかかる時間を30〜50%短縮できるという。
対面での受付業務と比べると、70%以上の時間が短縮できる。導入にあたっては、既にNCR社のセルフチェックイン機を利用しているホテルでは、指静脈認証装置の追加と、ソフトウェアの一部を改修するだけでSAKULaLa対応が可能だ。
SAKULaLaは、生体認証を活用して個人の属性情報に安全にアクセスすることで、本人確認や決済、ポイント付与などのサービスをワンストップで実現できる。生体認証には、日立が提供する高セキュリティの指静脈認証を、決済にはIoT決済プラットフォームサービスを利用している。
同サービスは、提供を開始した2024年4月以降、8000人以上が利用している(2025年7月時点)。今後は、指静脈認証と顔認証を組み合わせるなど多様な認証方法を導入。将来的にはSAKULaLaを客室、レストラン、フィットネスなどホテル内の各施設へ広げ、手ぶらで利用できる新しいホテル体験の実現を目指す。
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