この記事は、『部下からの逆パワハラで“もう無理”と思ったときに読む本 悩める上司への処方箋』(加藤京子著、日本能率協会マネジメントセンター)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
「ハラスメント・ハラスメント」とは、上司が部下に対して注意や指導を行った際、部下がそれを「注意・指導」と解さず、自身が「ハラスメントを受けている」と訴えることをいいます。
もしあなたが部下から「ハラスメント・ハラスメント」を受けたら……どうしたらいいのでしょうか? もしあなたが「ハラスメント窓口に呼び出された」としたら、と仮定して、適切な対応法を考えてみましょう。
ハラスメント・ハラスメント(以下、「ハラ・ハラ」)とは、部下が上司の指導を過剰に攻撃的に捉え、自らを被害者と主張することです。こんなセリフがよく聞かれます。
「そんな言い方、ひどいじゃないですか、完全にハラスメントです。今すぐ謝ってください」
「それ、パワハラじゃないですか? 心が折れますよ」
「また私にだけ厳しく言ってくるんですね。これってハラスメントですよね?」
昨今は、職場でパワハラ研修を行う会社が増えてきました。ただし、パワハラに当たる可能性が高い言動をうのみにして、現場で、「その言い方は、パワハラですよ」と部下が攻撃に転じるケースが増えています。研修では、あくまで「可能性がある」という程度でお伝えしているのですが、それを盾に、相手を貶(おとし)める手段に使うことがあるようです。
それにしても最近は、ハラスメントの種類が広がりすぎています。どんな言動でも「○○ハラ」に分類され、何かにつけて批判されることが多いようです。
部下側が持つ部下なりの解釈が行き過ぎるのでしょうか。あるいは「上司を攻撃することだけ」が目的になっているのでしょうか。名称の細分化には全く意味がありません。
そして、「ハラスメント防止対策」が「相手を黙らせるための武器」になり、「ハラスメント防止」から逆に「新たなハラスメント」が生まれる、これが一番の問題です。
先ほど、相談窓口に呼び出されてしまったあなたの「驚き」は、まさに「ハラ・ハラ」状態といえるでしょう。パワーハラスメントの難しいところは、どこからどこまでが指導なのか、分からない揚げ足取りの境界線になっていることです。
あなたは、何とかしてここを乗り越えなければなりません。一番、大切なのは、どんな指導だったのか、どんな注意だったのか、それはどの程度だったのか、ということです。
冒頭述べたような、勘違い(自分こそ被害者だとかそういった思い違い)がないかどうかです。そのためには、今、指摘されているアクションが「ハラスメントかどうかを判別するための指標と状況を判断する力」を持つことです。
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