しかし、当時の監査法人から同額取引での売上計上は認められないとの判断を下されたことから、広告代理店の関連企業を「AI GIJIROKU」の販売代理店とすることで、支払った広告費を販売代理店宛の架空売上としてオルツが回収する粉飾スキームに展開していったのです。
さらに、カムフラージュ策として広告代理店4グループに同様のスキームをつくらせて売り上げを分散させたり、監査法人から各グループの循環取引を疑われると入口役を当初の広告代理店1社に集約したり、支払いを広告費だけでなく研究開発費として分散させて目くらましを図ったりして、発覚を逃れてきました。
第三者委員会の調査によって、2021年6月から2024年12月にかけて、売上高119億円、広告宣伝費115億円、研究開発費13億円を過大計上していたという粉飾の実態が明らかになっています。AI GIJIROKUの取引実態に関しても、2024年12月時点で有料会員を2万8699件としていましたが、直近でアクセス実績がある有料会員数はわずか2236件に過ぎないと報告されています。
このようにオルツの事業実態は、実に9割が虚構であったという信じがたいレベルで不正まみれだったのです。しかもこのような業績実態のない企業が上場を果たし、社外取締役、監査役、監査法人、44社ものベンチャーキャピタル(VC)、主幹事証券会社、さらには上場審査をした東証までもが、すっかりだまされていました。それはなぜなのでしょうか。
オルツの粉飾決算 見抜けなかった東証・証券会社の「重い責任」
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