では、その理由を一つずつ説明していこう。
そもそも日本の「オーバーツーリズム」は「外国人観光客がたくさんやってきている」ことが問題ではない。年間約3600万人というのは、年間1億人のフランス、年間5700万人のイタリアに比べたらそれほど多くない。
にもかかわらず、なぜ日本はこんな阿鼻叫喚の地獄になってしまうのかというと、「もともと日本人がたくさんいる場所に外国人観光客が押しかけてしまう」という「一極集中」が原因だ。
観光庁のデータによれば、外国人宿泊者の延べ人数の割合は東京・京都・大阪のゴールデンルートが6割を占めており、その他のエリアは閑古鳥が鳴いている。東北エリアについては、わずか1.4%にとどまる。
なぜこんな「異常な偏り」が生まれてしまうのかというと、日本の観光に「多様性」がないからだ。
外国人観光客に「訪日前に最も期待していたこと」を聞くと複数回答でも単一回答でも「日本食を食べること」がダントツでトップだ。
あまり語られることはないが、これこそが日本のオーバーツーリズムの「元凶」である。
なぜかは冷静に考えればすぐに分かる。大多数の外国人観光客は「日本食を食べること」を期待して訪日するので、店のチョイスで絶対に失敗したくない。そうなると、日本のグルメ情報をよく調べて「おいしいと評判の店」を訪れる。
当然ながら、こうした「日本のグルメ情報」で紹介される店は、もともと日本人が高く評価した店である。また、そうした人気店は、東京・大阪・京都などの有名観光地や繁華街に集中している。
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