また、時期によっては、フランス人観光客と地元住民が顔を合わせることもほとんどない。フランス人もバカンスで混雑を避け、国内外の避暑地へ出かけるからだ。例えば、2025年8月29日付の産経新聞の記事「年間1億人の外国人客 花の都は『オーバーツーリズム』批判が意外に少ない」では、凱旋(がいせん)門近くで暮らすパリ支局長がこう述べている。
8月になると界隈(かいわい)はほとんどシャッター通りと化した。歩いているのは旅行に出ない高齢者と民泊客ぐらい。
このように聞くと、「いやいや、日本人はバカンスとかないし、東京とか京都に住んでいる人たちは外国人観光客が押し寄せてもどこにも逃げようがないだろ」と思うだろうが、そういう国だからこそ「AT」を成長させておくべきだったのだ。
外国人観光客を東京・大阪・京都などに「一極集中」させないためには他の地域に「分散」させていくしかない。宿泊者数の延べ人数でわずか1.4%にとどまる東北などに観光客を誘致するのだ。
ただ、そういう動きを進めようとすると、全国の自治体から「うちには外国人観光客を呼べるような観光資源がない」という嘆きの声が上がる。そして次に出てくるのが、「観光客が来そうな巨大施設や交通インフラを整備してくれ」という要望だ。その代表が安倍・菅政権時代に日本中で盛り上がった「IR」(カジノを含む統合リゾート)である。
しかし、こうした巨大観光施設の建設やリゾート開発というのは、投資回収の可否や自然破壊の懸念など、多くのハードルがあるため、結局計画は実現せず塩漬けとなることが多い。
「ジャングリア沖縄」はなぜ叩かれるのか? 大自然と人工恐竜の没入感ギャップ
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみたCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング