それはつまり、このような観光地には外国人観光客を誘致する余裕があるということだ。観光庁のデータによると、2024年に東北で宿泊した外国人の延べ人数は前年比46.9%増の229万3770人である。
しかし、先ほどから申し上げているようにこれは東京・大阪・京都に比べるとケタ違いに少ない。日本では何十年も大都市と地方の「格差」が問題になっているが、こうしたバランスの悪さが、そのまま観光政策にも表れているのだ。
この異常な東京・大阪・京都の「観光集中」を解消するためにも、30年遅れている「AT」に真剣に取り組むべきだ。
そのような話をすると「自然破壊してまで観光客を呼ぶ必要があるのか」と言う人もいるが、米国やアフリカのナショナルパークなどを見れば分かるように、世界では「自然観光で得た収益を自然保護の財源とする」のが常識だ。日本がこれまでやってきた「手を付けずに放置する=自然保護」みたいな考えは、時代錯誤の理想論に過ぎない。
このように日本では過剰に「保護」にこだわってきたせいで、自然を活用して稼ぐ、つまりは自然と人間が本当の意味で共存共栄する道を模索してこなかった。その問題を放置してきた結果が、昨今急増している「クマ被害」だ。
例えば、絶滅の危機にひんする「グリズリー」がいるカナダでは、グリズリーの観察ツアーなどが当たり前にある。
このツアーは時期によっては10万円以上にもなる。その収益が自然保護のレンジャーやグリズリーの生態系を守るための環境保護に充てられているのだ。
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