もうお分かりだろう、今の東京・大阪・京都で見られる阿鼻叫喚の地獄絵図というのは、もともと日本人観光客が押し寄せて混雑していたところに、さらに外国人観光客が集中した。そのせいで「一極集中がもたらす害」まで相乗的に深刻化したのである。
このことからも分かるように、日本の観光公害とは、より正確に言えば、「日本人の生活圏に大量の外国人観光客を誘導してしまった観光行政がもたらした人災」なのだ。
では、どうすればこの「人災」を防げるのか。それは「日本人の生活圏と、外国人観光客の行動圏をなるべく切り分ける」しかない。
分かりやすいのは年間1億人の外国人観光客が訪れるフランスだ。日本の3倍以上の外国人が訪れると聞けば、フランス国民の間で観光客への反発が高まっていると思われがちだが、実際にはそれほどでもない。
理由は、生活圏や行動パターンが微妙にずれているからだ。
フランスにやって来る外国人観光客は「フランス料理を食べたい」という理由だけではない。調査すれば「観光散策」「美術館や世界遺産」「自然」「ワイン産地を見たい」など、さまざまな声が上がる。
一方、フランス人が日常的にエッフェル塔やルーブル美術館を訪れることは少ないし、パリっ子たちもシャンゼリゼ通りに入り浸っているわけではない。つまり、観光客と市民の行動範囲が「ゾーニング」されているのである。
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