「時短なら管理職を辞めてくれ」──これって違法?【事例で解説】(1/3 ページ)

» 2025年09月04日 06時00分 公開
[木村政美ITmedia]

 育児や介護といった家庭生活との両立のため、時短勤務を希望するケースも少なくありません。果たして、時短で管理職は可能なのでしょうか。その課題と企業側の対応について考察します。

「管理職だから、時短勤務は難しい」と悩む人も多い?(出所:ゲッティイメージズ)

【事例】課長職のまま時短勤務は難しい? ある女性管理職のケース

 Aさん(35歳・女性)は、大学卒業後、甲社(従業員数300人)の企画課で商品デザインを担当し、3年前に企画課長へ昇進しました。プライベートでは5年前に結婚し、その後長子を出産。1年間の育児休業を終えて7月に復帰しました。部署で部下たちに復帰のあいさつを終えた後、B総務部長(社内における人事・総務の責任者)のところへ行きました。

Aさん: B部長、お疲れ様です。やっと復帰できたので遅れを取り戻せるようにがんばります。

B部長: その報告を待っていたよ。これからもバリバリ頼むよ。

Aさん: ところで、勤務時間について相談したいことがあります。

B部長: 何だね?

Aさん: 子どもの保育園ですが、今は実家の母にお迎えを頼んでいます。しかし家庭の事情で8月から私が迎えに行くことになるので、時短勤務を希望したいです。確か子どもが3歳になるまで時短勤務は可能ですよね?

B部長: 確かに、わが社の勤務時間は午前9時から午後6時まで(休憩時間は1時間)で、時短勤務制度を申請すれば、午前9時から午後4時までの6時間勤務になるよ。でもねえ……。

Aさん: 何かまずいことでもありますか?

B部長: 課長職での時短勤務は、難しいんじゃないかなあ……。

 Aさんが理由を尋ねると、B部長は部下の育成や会議への参加対応は、フルタイムでないと厳しいという見方を示しました。企画課ではメンバーがプロジェクトごとに分かれて業務をしており、夕方にならないと皆がそろわないため、会議や個人指導はだいたい午後4時過ぎから行っています。現状ではAさんの都合だけで変えるのは難しいように見受けられます。

B部長: もちろん時短勤務は申請すれば認めるよ。でも、今までの管理職の中で時短の申し出をした人はいない。もし時短勤務にするなら、主任のポジションになるね。就業規則にその旨は書いてあったと思うけど。

Aさん: そんな……。これまで一生懸命仕事に励んできたのに育児と仕事、どちらを優先したかで、キャリアを諦めなければならないんですか?

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR