そうはいっても、既存のディーゼルエンジンでそのまま使える燃料でなければ、ユーザーは混乱するし、コスト面でのメリットも薄くなる。そのためCNF(カーボンニュートラル燃料)として利用できるのはドロップイン(燃料タンクに給油してそのまま使える)の燃料だけだ。
そこで現在、廃食油をベースにしたバイオディーゼル燃料の実用化が進められている。廃食油から作り出されるバイオディーゼル燃料には大きく分けて2種類ある。
1つは廃食油にメタノールを混ぜ、反応によってできたグリセリンを取り除いたFAME(脂肪酸メチルエステル)だ。これは分子構造に酸素を抱えるため、酸化しやすいという特性を持つ。さらに燃料系にも悪影響を及ぼす可能性があるだけに、限定的に利用したい燃料だ。
したがって、現在は従来の化石燃料とブレンドして利用されるケースがほとんど。作りたてなら100%FAMEでもディーゼルエンジンに使えるが、国内では軽油に約5%混合して利用されるケースが一般的だ。
先日マツダが開催したディーゼル燃料の勉強会で、このFAMEのサンプルに触れさせてもらった。すでにサンプルとして長い間利用されているであろうその液体は、無色透明ではなくお茶のように黄色く変色し、古い油の臭い(旧車の車内でもたまに臭う)がした。
バイオディーゼル燃料の違い。廃食油を原料にしている点はFAMEもHVOも同じだが、精製の処理方法が異なるため、特性が異なる。FAMEは成分に酸素を持つため酸化しやすく、燃料系統にも悪影響を与える可能性がある(写真:平野石油)FAME100%でもディーゼル燃料として利用できるらしいが、その場合はやはり鮮度が問題となりそうだ。
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