また、評価制度の抜本的な見直しも不可欠です。従来の年功序列や画一的な評価基準から、個人の成長とチームへの貢献を正当に評価する仕組みへの転換が求められます。この改革を実施した企業では、従業員エンゲージメントスコアが平均42%向上しています。これは、人材の定着率向上に直結する重要な指標です。
さらに、経営判断の背景や理由を明確に説明し、従業員との対話を重視する「意思決定プロセスの透明化」も重要な要素となります。このような取り組みを行う企業では、組織への信頼度が大幅に向上し、それが優秀な人材の定着につながっているのです。
特筆すべきは、これらの取り組みによる複合的な効果です。これらの施策をすべて実施した企業では、5年後の企業価値が平均2・8倍に上昇しています。これは、個別に実施した場合の効果の総和を大きく上回る数字であり、包括的なアプローチの重要性を示唆しています。
労働力人口の減少は、確かに大きな課題です。しかし、それは同時に、真に「人に選ばれる企業」へと進化するチャンスでもあります。この変革に成功した企業だけが、持続的な成長を実現できる時代がすでに始まっているのです。
この現実を直視し、本質的な変革に着手できる企業のみが、次の時代の勝者となるでしょう。人材をめぐる競争は、まさに「企業が人を選ぶ時代」から「人材に選ばれる企業だけが生き残る時代」への転換点に立っているのです。
ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役
1988年株式会社リクルート入社。2006年から8年間、転職サイト「リクナビNEXT」編集長、株式会社リクルートキャリア HRプラットフォーム事業部部長、株式会社リクルートドクターズキャリア取締役などを歴任。2014年ルーセントドアーズ株式会社を設立し、35歳以上専門の転職支援サービスを運営。また、HR業界のベンチャーから大手まで、30社を超える「求人サイト」「転職エージェント」の成長戦略コンサルティングを展開。主な著書に『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
WaGaGoToプランニング 代表
1992年株式会社リクルートフロムエー(現リクルート)入社。関西、東海、関東、ローカルエリアの営業企画を18年間担当。「フロム・エー ナビ」「はたらいく」の新規求人メディアの立ち上げに従事。最大期は札幌から鹿児島までの26拠点を旅芸人的に担当。2015年4月から5年間、ツナグ働き方研究所主任研究員として求人サービス、HRテックサービスの分析と比較を行う。2020年4月に独立し、WaGaGoToプランニングを設立。「#求人ツッコミニスト」でSNS発信を行うほか、求人サービス援護会会長、採用パーソナルトレーナーとして活動。
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