第1回は、メイン会場として明治神宮外苑聖徳記念絵画館前特設テントを設置して場所を集約し、開催期間を10日間に短期化しました。しかし、2010年7月、経済産業省の事業仕分けにより財政支援の打ち切りが決定。2011年10月からは、冠スポンサーを迎えて、名称を「メルセデスベンツファッションウィーク東京」に変更しました。
その後、2016年10月から「アマゾンファッションウィーク東京」に、2019年10月から「楽天ファッションウィーク東京」へと冠スポンサーを変えながら、約1週間の会期で開催されています。
ファッション要素を取り込みたかった輸入車メーカーからファッションアイテムの販売促進につなげたいEC企業へのスポンサーの変化は、まさに時代の流れを象徴しているようです。
歴史をひも解くとショーは、バイヤーたちに最新のコレクションの世界観を見せ、その後に開く展示会で買い付けしてもらう事が目的の宣伝手段です。よって、ほぼ同時期に展示会を開催するのですが、ショー自体をやらないブランドがほとんどなわけで、そういうブランドも同じような時期に展示会を開催しますから、都内のあちらこちらで展示会が開かれているわけです。
ちなみに展示会のことをショールームとも呼びます。そして1社だけで自力でやる展示会を個展と呼び、何社かで集まって合同展示会を開催するアパレルメーカーもあります。もう少し規模の大きい見本市会社が主催する合同展(トレードショー)もあり、さらには東京ビッグサイトのような見本市会場に何百社もが出展して開かれるアパレル見本市まで、形態はさまざまです。
いずれにしても、ファッションウィークに合わせてショールームを開催することで、世界から来るバイヤーに見せたいという夢は、東アジアからのバイヤーを除けば、いまだ実現しておらず、「東京をニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリと並ぶ5大コレクション都市として発展させる」という当初目標は、その旗を降ろすべきなのか、東京は他の都市とは違う意味を見つけ、差別化を図れば良いのではないか、などの議論は続いています。
ファッション・ジャーナリスト
1963年東京生まれ。法政大学社会学部卒業後、1990年繊研新聞社に入社し22年間勤務。日刊繊研新聞でレディス、キッズ、インポート分野を担当し、1999年にフリーペーパー「senken h(アッシュ)」を創刊。同誌編集長およびパリ支局長を歴任。2012年に大手セレクトショップに転職し、マーケティングディレクターとして活動。2013年に独立後、ファッションビジネス専門ウェブメディア「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」を立ち上げ、杉野服飾大学特任教授(2016-2024年)、encoremodeコントリビューティングエディター(2019年-)、一般社団法人東京ファッションデザイナー協議会(CFD TOKYO)代表理事・議長(2022年-)を務める。国内外のファッション業界に精通し、コンサルティング、講演活動、執筆を通じて若手クリエイター支援に取り組んでいる。
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