カスタマイズ弁当の導入により、客単価の向上や若年層の利用増など狙っていた効果が出始めている。一方で、毎回の注文内容が異なるため、通常よりもオペレーションが煩雑になることは課題といえる。
「確かに、一人ひとりの注文に対応するのは非常に難しい面があります。ただ、全く新しいお弁当を作ることが楽しいと話す従業員もいますね。また、お客さまからは『フタを開けて初めて盛り付けを見るのが意外とおもしろい』という声も聞かれます。例えば、ちくわのおかずばかりを詰めたお弁当をSNSにネタとして投稿された方もいました」
今後の展開として、2026年2月頃からカスタマイズ弁当を全国で提供予定だ。同時に「幕の内弁当」の販売を終了し、オペレーションの課題解消につなげたいという。
「『幕の内弁当』はカスタマイズ弁当に近い位置付けの商品ですが、たくさん売れるわけではなく、その割に手間がかかるのが正直なところ。その手間が削減されるぶん、カスタマイズに時間がかけられるようになるかなと。また、2月に向けて『カスタマイズ専用商材』を開発したい考えもあります」
すでにリピーターも増えつつあるというカスタマイズ弁当。同社では、SNS投稿やキャンペーン施策などを通じて、じわじわと認知を広げていく方針だ。例えば、同日に全く同じカスタマイズ弁当をたまたま複数人が注文した場合、該当顧客に「ピタリ賞」としてクーポンを提供する、といった施策を想定している。
加えて、機械的になりがちなカスタマイズ弁当の注文方法を「顧客が楽しめる仕様に変えたい」という考えもあるという。
「フタを開けてみて盛り付けを知る楽しみがあるという話と逆行してしまいますが、モバイルオーダーの画面で、お客さまが自身で盛り付けまでできるUI・UXにしたら、おもしろいのではないかなと。選ぶ行為がつまらないと『めんどくさい』と思われてしまうので、来期に向けて取り組んでいきたいですね」
ありそうでなかったカスタマイズ弁当。他社との差別化にもなり、これまで取り込めていなかった層への新たなアプローチになっているのかもしれない。
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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