オフロード性能の高いクルマであれば、水没してもダメージは少ない。車内の汚れなども洗浄によって除去できる場合がある。そもそも河川やぬかるみなどを走行しているユーザーにとっては、水没してもエンジンや電装系にダメージが及ばなければ、掃除して乗り続けることも少なくないだろう。
また、非常に価値の高いクルマ(希少性の高いクルマなど)は、どんなに手間をかけても修復することが多い。
しかし前述の通り、ほとんどのクルマは水没すると廃車処分となる。それは自動車保険で車両保険に加入しているかはあまり関係ない。
ちなみに車両保険でも、水没車の扱いはいろいろと複雑だ。天災による被害は補償の対象外となるケースも多い。ただし、地震による津波は保険金支払いの対象となることもある。このあたりは保険会社や商品によって対応が異なる。各社はこうした補償内容の違いで差別化を図り、価格競争を避けているのだ。
交通事故によって損傷を受けたクルマも廃車処分となるケースが多い。最近のクルマは衝突安全性を高めるために、車体が大きくつぶれて衝撃を吸収する構造になっている。そのため車体全体にダメージが及ぶため、以前より廃車となる確率は高い(写真:Adobe Stock)廃車後のクルマはどういう運命をたどるのか。廃車=つぶされてスクラップ鉄になるだけ、ではない。そこにはさまざまな活用法があり、廃車ビジネスは年々拡大を続けている。水没車もそのまま中古車で販売されることはほとんどないが、さまざまな形で利用されているのだ。
ちなみにクルマは、スクラップ処分となっても車体の95%はリサイクルされる、資源リサイクルの優等生である。鉄などの金属はもちろん、ガラスやプラスチックも回収されている。
ドイツ車などは、2000年頃から積極的にリサイクル素材を部品の原料などに用いてきた。しかし、想定よりリサイクル樹脂の劣化が早く進み、ワイヤーハーネスの被覆がはがれるなどのトラブルが起きたため、リサイクル素材の改良と採用範囲の最適化が進められた。
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