管理職の罰ゲーム化を解消し、次世代リーダーを育成していくために、経営層や人事はどうすればいいのか。近藤氏は5つのアプローチを挙げる。
1つ目が対話力と人間関係構築力の強化だ。単なる「会話」ではなく、意見のずれを擦り合わせ、合意を得る「対話」を通じて、部下から「協力したい」と思われる関係性を築く。
2つ目が部下の強みを生かしたマネジメントだ。管理職の成功体験を押し付けるのではなく、対話を通じて部下の強みを見極め、それを最大限に生かすよう育成する。その結果、部下はマネジャーからの指示に対して、業務を「丸投げされた」ではなく「任された」と感じられ、育成スピードが向上する効果が見込めるという。3つ目が役割バランスの最適化だ。部下の成長によりチームの成果が安定すれば、管理職のプレーヤー業務の割合が自然に減り、マネジメントに注力できるようになる。
4つ目が継続的な学習姿勢の醸成だ。管理職自身が「時間がないからこそ、時間を生み出すために学ぶ」という姿勢を持ち、学ぶ組織文化を作る。5つ目が育成内容への変更だ。「新任管理職の成長には、知識だけでなく実践と振り返りのサイクルが不可欠だ」と近藤氏。「インプット中心で終わりがちな管理職研修を、行動変容につながる実践的なものへ変え、再現性を持たせる『逆転の発想』が重要だ」と強調する。実際の職場の課題に取り組みながら学ぶことで、新任管理職はリアルな成功体験を積み重ねられる。
管理職の罰ゲーム化を防ぐためには、これまでの当たり前をなくし、マネジメントスタイルを共創・支援型へと刷新するための継続的なサポートを徹底することが鍵となる。「管理職の重要性を経営戦略として位置付け、経営層が本気で取り組むことが、これからの組織に不可欠な次世代リーダーを輩出する基盤となる」(近藤氏)
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