データを活用して直接的な成果が見えやすい施策以外にも、「顧客と正対する」という信念を具現化した、“ファイターズならでは”の施策も展開しているという。Xでは「Fビレッジおじさん」(@FVillageOjisan)という目安箱のようなアカウントを運営。「#聞いてよFビレッジおじさん」のハッシュタグをつけてポストされたFビレッジ内で感じた困りごとに対し、“中の人”がていねいに対応している。
そして試合日には、ファイターズの社員が球場内を歩き回り、現場で見つけた良かった点や改善点をレポートにまとめるなど、より良い球場にするための取り組みを重ねている。
「人々の趣味・嗜好や感情は、刻一刻と変化する。オンラインだけでなくオフラインのデータも集めながら、その時々でベストな施策を模索していきたい」と田邊氏は語った。
この先、人口減少が見込まれている日本社会において、球団運営のために、新たなファンを増やし続けるのは容易なことではない。もちろん新規のファンを開拓する努力も必要だが、既存のファンを大切にして“少しでも長く・少しでも深く”つながり続ける努力も、同等もしくはそれ以上に必要になってくるだろう。
だからこそ、このFビレッジという場所は生まれた。
「野球の力やエンタメの力を発揮して、自分たちが思い描くビジネスプランを実現するには、札幌ドームという“借家”ではなく、“マイホーム”をつくるしかないと考えた」と、前沢氏は当時の思いを振り返る。
そしてマイホームが建った今、F VILLAGE アカウントの登録数は100万を超えた。この独自アカウントの数は、“再びこの場所に訪れたい”と考えるリピーターやリピーター予備軍の数であり、ファイターズという球団のみならず、F VILLAGEという場所のファンの数だとも言える。
2017年6月にボールパーク構想を発表後、2023年3月にプレオープンを迎えた。初年度の年間来場者数は346.4万人。うち北海道外からの来場者は全体の約30%である約100万人だった。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2024年2月に発表したレポートによると、Fビレッジによる北海道への経済効果は年間1000億円超にも及んだという。
しかし、これでもまだ前沢氏のプランのうち、「約30%しか完成していない」という。2028年に新駅ができるときには、北海道医療大学のキャンパスや高層マンション、高齢者施設にクリニックモールなどもオープンして、さながらエスコンフィールドという城のもとに広がる城下町のようになる予定だ。
「Fビレッジは、来場者によって三者三様の楽しみができるよう、つくっている。ぜひ一度お越しいただけたら」(前沢氏)
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