Netflixで話題沸騰『イクサガミ』 世界1位の大ヒットになったワケ(2/4 ページ)

» 2025年12月04日 08時00分 公開
[白川穂先ITmedia]

Netflixアジア作品の”デスゲーム人気”も影響か

 そのようなドメスティックな文化である時代劇に、デスゲーム要素を取り入れることでグローバルな大衆性を付与している点も実に巧みである。特に近年のNetflixは、デスゲームものが好調だ。

 Netflix史上最大のヒットといわれた韓国発の『イカゲーム』や、今秋公開されたシーズン3が世界ランキング1位となった『今際の国のアリス』は、いずれもこのジャンルである。

 人を引き付けるフォーマットであることに加え、“アジア発のデスゲーム”熱が高まっているタイミングでの新作登場という流れもあり、海外ユーザーは親しみやすさを覚えたのではないだろうか。

 実際、米エンターテインメントメディア「VARIETY」は、「Shogun Meets Squid Game(イカゲーム)」と、本作のデスゲーム要素を『イカゲーム』に例えて報じている。配信が始まって2週目以降も止まらない『イクサガミ』の加速力は、そうした文脈も含めて納得がいく。

アジア作品のデスゲーム人気が追い風となったか(画像:プレスリリースより)

 だがここまでは、原作から引き継いだ魅力ともいえる。では、とりわけ今回の実写版を成功に導いたものは一体何か。キャストやクリエイターの技量を、余すことなく作品の質に反映させるNetflixの英断が、その陰にはある。

「俳優プロデュース」の新たな成功事例に

 本作を語る上で欠かせないのが、主演、プロデューサー、アクションプランナーの3役を務めた岡田准一さんの存在だ。彼のプロデューサー抜擢は、Netflix側からのオファーが起点である。

 岡田さんと言えばこれまで『燃えよ剣』『散り桜』『関ヶ原』など、数々の時代劇映画で主演を務めてきた俳優だ。時代劇の継承に並々ならぬ思いがあり、かつ格闘技や武術に造詣が深いことでも知られている。岡田さんのキャリアと『イクサガミ』は、これ以上ないほど親和性がある。

 本作で彼は脚本や編集の監修、殺陣の構成にまで幅広く携わっているという。特に黒澤映画へのオマージュを滲(にじ)ませたという殺陣は、その豊富な現場経験がなければ実現しなかっただろう。プロジェクトと共鳴する人物を作品の中核に迎えた選択が、実写版のクオリティを形づくっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR