こうした採用動向の変化に伴い、企業がIT人材に求めるスキルセットも変化しています。AIによる自動化が進む中、従来、ジュニア層が担っていた定型的な実装作業は大幅に効率化されつつあります。一方で、プロダクトマネージャー(PdM)、テックリード、エンジニアリングマネージャー(EM)など、上流工程やマネジメント領域の役割は増加。採用基準も、技術力だけでなく意思決定力や構想力、コミュニケーション能力、ピープルマネジメント力が重視されるようになっています。
実際、IT人材を採用する企業担当者1000人を対象とした調査では、「生成AIによってエンジニアに求められるスキルが変化した」と答えた割合は43.9%に上りました。
特に「コミュニケーションスキル」「プロンプト活用スキル」「ピープルマネジメントスキル」の重要性が増す一方で、「プログラミングスキル」や「資料作成スキル」は相対的に重要度が下がったと感じられています。
このように、生成AIの普及は「人がいらなくなる」という単純な代替論では捉えきれません。実際には、AIを効率化ツールとして活用する企業と、価値創造の手段として活用する企業で採用動向が大きく二極化しています。
この傾向はIT業界にとどまらず、製造、金融、教育など幅広い業界で共通しています。仕事の中心は実行や生産といった「作る」行為から、課題設定や価値設計といった「何を作るべきかを定義する」領域へとシフトしているといえるでしょう。
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