「AIリストラ」に逆行 “人間不要論”が広がる一方で、あえて採用増やす企業の狙い(3/3 ページ)

» 2025年12月12日 08時00分 公開
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これからのIT人材に求められるスキルの変化

 こうした採用動向の変化に伴い、企業がIT人材に求めるスキルセットも変化しています。AIによる自動化が進む中、従来、ジュニア層が担っていた定型的な実装作業は大幅に効率化されつつあります。一方で、プロダクトマネージャー(PdM)、テックリード、エンジニアリングマネージャー(EM)など、上流工程やマネジメント領域の役割は増加。採用基準も、技術力だけでなく意思決定力や構想力、コミュニケーション能力、ピープルマネジメント力が重視されるようになっています。

 実際、IT人材を採用する企業担当者1000人を対象とした調査では、「生成AIによってエンジニアに求められるスキルが変化した」と答えた割合は43.9%に上りました。

r 生成AI出現によってエンジニアに求められるスキルは変化したと思うか(提供:レバテック)

 特に「コミュニケーションスキル」「プロンプト活用スキル」「ピープルマネジメントスキル」の重要性が増す一方で、「プログラミングスキル」や「資料作成スキル」は相対的に重要度が下がったと感じられています。

r 生成AIの出現を受けて、より重要になった/以前ほど重要でなくなったと感じるスキル(提供:レバテック)

 このように、生成AIの普及は「人がいらなくなる」という単純な代替論では捉えきれません。実際には、AIを効率化ツールとして活用する企業と、価値創造の手段として活用する企業で採用動向が大きく二極化しています。

 この傾向はIT業界にとどまらず、製造、金融、教育など幅広い業界で共通しています。仕事の中心は実行や生産といった「作る」行為から、課題設定や価値設計といった「何を作るべきかを定義する」領域へとシフトしているといえるでしょう。

著者プロフィール:芦野成則

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レバテック株式会社 リクルーティングアドバイザー

一橋大学を卒業後、官公庁に5年半勤務し、2019年にレバレジーズに中途入社。

レバテックのキャリアアドバイザーとして、年間約300人以上のエンジニア・ITコンサルタント向けのキャリア支援を行い、その後ハイクラス専任チームの立ち上げに従事。

現在は企業の採用支援を行うリクルーティングアドバイザーとして、人事目線での社内実情やIT人材の転職市場動向を踏まえ、多角的な視点から採用支援を実施。

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