東京圏には、日常的に混雑する駅が数多くある。一方で、都心・郊外を問わず、イベント時には驚くほど混雑するものの、平常時は人影もまばらという駅も。
こうした駅は、普段は閑散としていながらも、いざイベントとなると一気に大人数を受け入れなければならない。
利用者数に大きな振れ幅のある駅は、どのように対応しているのだろうか。本稿では、実際に足を運び、考察した内容をお伝えしたい。
JR中央・総武緩行線の千駄ヶ谷駅は、国立競技場や東京体育館の最寄り駅として知られている。住宅街で企業の大規模オフィスが立ち並ぶ場所ではないため、普段はそれほど混雑しない。
しかし、スポーツの試合や大規模コンサートが開催される日になると、駅は一転して人であふれ返る。これをどうさばくのかが大きな課題だ。
実際に千駄ヶ谷駅に足を運んでみた。
駅は2面2線のホーム構造。もともと島式ホーム1つに加え、混雑時のみ使う補助ホームが1つある形だった。しかし東京オリンピック・パラリンピックに向けた改良工事で、この補助ホームを常時使うホームに変更し、上り・下りを完全に分離。さらにホームドアを設置し、島式ホームの下り側には大きな柵も設けられた。これにより、1つのホームに集中しない動線が確保され、混雑時でも多くの利用者を受け入れられる構造となっている。
上りホームは、改札階へ向かう動線が2カ所に分かれており、階段で降りるルートと、エスカレーター・エレベーターを利用するルートがある。一方、下りホームは改札階と行き来する階段スペースにゆとりを持たせ、多くの人が流れやすい構造となっている。
改札口も広く確保されており、自動改札機が多数並ぶほか、混雑時には簡易型の自動改札機を追加設置できるスペースも用意されている。
また、改札外には大きな広場が設けられており、国立競技場や東京体育館など、神宮外苑エリアへ向かう人が滞留しないよう工夫されている。
さらに、千駄ヶ谷駅周辺には都営地下鉄大江戸線の国立競技場駅があり、こちらを利用する来場者も多い。加えて、同じ中央・総武緩行線の信濃町駅や、東京メトロ銀座線の外苑前駅など、複数の駅からアクセス可能で、大規模イベント時でも人が分散しやすい環境が整っている。
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