2022年秋、上司とのキャリア面談で転機が訪れた。浅田さんは自身の将来像を熱く語った。情報開示のプロフェッショナルとして成長していきたい。そう上司に20分ほど話し続けた。
その直後「熱意は分かった。でも、1週間後にIT部門への異動が決まった」と告げられた。
「正直、ショックでしたね」と浅田さんは当時を振り返る。
自分が書いたプレスリリースが記事になる。それを見た誰かが協業を提案してくる。そこから新しいビジネスが生まれ、世の中に価値が届いていく──。全ては「かもしれない」の連鎖だが、その可能性を紡ぎ出していく広報の仕事に、面白さを感じていた。
しかし情シスは、社内システムの運用が中心だ。広報のように社外へ情報を届け、その先で何かが生まれる、という道筋が、当時の浅田さんには見えなかったのだ。
しかし、異動から間もなく、世の中が大きく動き始める。2022年11月にChatGPTが公開され、2023年3月にはGPT-4が登場した。生成AIの波が押し寄せてきたのだ。
ここで浅田さんは、情シスでも「かもしれない」の連鎖を見いだした。生成AIで社員の働き方が変われば、新しいビジネスを考える時間が生まれる。それが事業成長につながり、結果的に社会への価値提供にもなる。届ける相手が「社外」から「社員」に変わっただけで、その先に広がる可能性は同じだ。
そう考えると、情シスへの異動はむしろ面白い挑戦に思えてきた。浅田さんは新しい領域の学習に没頭し、生成AIやクラウドツールの知識を貪欲に吸収していった。
広報時代に培った、情報の価値を伝えるコミュニケーション力と、新たに習得した技術的な知識。この2つのかけ合わせが、浅田さんの強みとった。
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