三井不動産の事業提案制度から生まれたミタセルは、プレミアム冷凍グルメや厳選お取り寄せグルメサービスとして、2023年4月に運営を開始した。その背景には、人材不足や原材料費高騰などにより深刻な経営難に陥っている国内の飲食業界の現状がある。
帝国データバンクによると、2025年上半期の飲食店の倒産は458件で、前年同期(435件)を上回り3年連続で増加。また、厚生労働省の「調理師免許交付数推移」では、2023年の交付数が2万3790件で、10年で約4割減少した。高収入を求めて、海外に出ていく料理人も増えているという。
ミタセルは、こうした飲食業界の底上げを狙う。「飲食店と併走する独自のビジネスモデルが強みだ」とミタセルジャパンの松本大輝社長は説明した。
「飲食店にはブランドとレシピ、及び商品開発支援を提供いただき、原材料の仕入れから商品製造・販売までを当社が請け負います。事業リスクを当社が背負うことで、飲食店に負荷をかけずに名店の味を消費者に届けたいと考えました。監修商品ではなく、店舗と同等のクオリティーを再現する開発にこだわっています。提携飲食店には、販売に応じたのれん代(ライセンス利用料)をお支払いしています」(松本社長)
のれん代の詳細は公開していないが、「コンビニの監修料よりも高くなるような割合で設定している。飲食店の事業を底上げできるような収益源を提供したいと考えている」(ミタセルジャパン 取締役 佐々木悠氏)そうだ。
投資や人手をかけずに売上増につなげやすいビジネスモデルが飲食店に喜ばれ、参入店舗が増えているという。現在、取扱数は全50店舗・97商品に拡大している。
さらに、2025年11月のリニューアルにあわせて「商品の完全買取販売」も始めた。自社で冷凍食品事業を展開している飲食店から商品を仕入れてミタセル内で販売するもので、手間のかかる発送作業を任せられるとして、こちらも飲食店から好評を得ているという。
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