「中国経済崩壊」って信じていいの? ニュースの演出と“売れる仕組み”のからくりスピン経済の歩き方(5/5 ページ)

» 2026年01月01日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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80年たっても変わらない日本

 当時も今と同じ構造で、新聞や雑誌、書籍は中国をディスればディスるほど売れた。庶民にとっては「日本サイコー」というエンタメとして楽しめたが、問題は政治家や軍もこの「中国経済崩壊論」に基づいて政策判断を下してしまったことだ。

 木村氏はこの本で、ビジネスパーソン的な視点で、相手を過小評価することで状況判断が誤ってしまうことの恐ろしさを指摘している。しかし、本書が世に出た約3カ月後、日本は真珠湾攻撃に踏み切る。「米国人は軟弱なので最初に壊滅的な被害を受ければすぐに降参する」と過小評価したからだ。

 あれから80年、時代は変わったが日本人の相手を過小評価する癖は健在だ。中国経済が崩壊したところで、日本経済が上向きになるわけでもないのに中国が下がる話は大好きだ。

「反中マーケティング」であふれる日本(出典:ゲッティイメージズ)

 もちろん、エンタメとして消費する分にはいいが、政治家や企業経営者までがそういうことを言い出したときはかなり危ない。80年前と同じくナショナリズムにとらわれ過ぎて、自国の政治・経済状況を冷静に見ることができなくなってしまっているからだ。

 2026年も、さらに日中関係は悪化していくかもしれない。その影響は、観光や対中国ビジネスにかかわる人だけではなくなっていく可能性もある。

 ビジネスパーソンの皆さんにはぜひとも、ちまたにあふれる「反中マーケティング」に惑わされることなく、冷静かつ客観的な状況判断をしていただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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