ここまで説明すれば、筆者が何を言いたいのかはお分かりだろう。富士山といえば「日本一の高さを誇る山」なので、富士山をデーンと大きく掲げることで、「ギョーザ売上日本一!」という「うたい文句」をさらに視覚的に盛り上げる狙いがあったのだ。
ただ、先ほども説明したように、事実として「ギョーザ売上日本一!」は変わらない。味の素としても、その点は訴求したいと考え、2026年のリニューアルでは「28年連続売上No.1」を掲げることにした。そこで悩むのは「富士山」をどうするか問題である。
本来、冷凍餃子ブランド全体の売り上げが「日本一」なので、胸を張って2024年までのように「富士山」を掲げたいはずだ。が、定番商品がシェア1位から陥落した中で「日本一」アピールをすると、「なんかサムい」「虚勢を張っている」などと誤解されてしまう恐れもある。そこで「富士山のちょい残し」という選択に至ったのではないか。
つまり、今回の「味の素ギョーザ」リニューアル品のパッケージにある「28年連続売上No.1」という「うたい文句」と富士山デザインからは、「『売上日本一』をアピールしたいけれど、もし叩かれたらどうしよう」という「業界トップの葛藤」を読み取ることができるのだ。
断っておくが、筆者は味の素のギョーザにケチを付けているわけではない。かなりの頻度でお世話になっているし、この価格でこの味やクオリティーを実現する技術力・開発力は称賛に値する。パッケージに「日本一」の文字があろうとなかろうと、味の素の「ギョーザ」のおいしさには何ら変わりがない。
では、なぜ味の素の「うたい文句」をこのようにネチネチと細いところまで検証したのかというと、ビジネスパーソンの皆さんが「売り上げトップ」や「売り上げ日本一」という「うたい文句」を使うリスクとベネフィットを考えていただくのに最適な事例だからだ。
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