先ほども申し上げたように日本一の座から陥落した場合、「競合に負けた」というマイナスの宣伝効果になってしまうこともあるが、背景には社長の哲学もあるかもしれない。冷凍食品マイスターのタケムラダイ氏が大阪王将を運営するイートアンドホールディングスの仲田浩康社長にインタビューをしたところ、社長はこんなことを公言している。
「お世辞抜きで味の素さんの餃子が一番」(PRESIDENT Online 2025年9月16日)
このような謙虚な社長が「日本一と大きく掲げろ!」などと現場に指示するとは思えない。そこに加えてシェアや売り上げをうたわないのは、他に消費者に訴求したいことがあるからではないか。近所のスーパーの冷凍食品コーナーで「大阪王将 羽根つき餃子」を手に取っていただきたい。
パッケージの全体的な雰囲気は「味の素ギョーザ」とそれほど変わらないが、大きく異なる点として目に付くのが、次の2つの文言が記されたロゴだ。
「生まれ変わった! 秘伝のたれ2袋入」
「素材のチカラ 具材は全て国産 大阪王将特製 香りとコクの隠し味」
味の素の「ギョーザ」にはタレが付いていない。一方、「大阪王将 羽根つき餃子」は店舗で使っているタレが付いているというのが「差別化ポイント」の一つなのだ。国産の具材に関しては、味の素のギョーザも「国産の肉・キャベツ・ニラ使用」とパッケージの下部に記しているが、それほど大きくうたっているものではない。
筆者はスーパーで、味の素の「ギョーザ」と「大阪王将 羽根つき餃子」のどちらを買おうか迷うときがある。どちらも味を知っていて甲乙つけがたいし、どちらを買っても間違いないことも分かっている。
にもかかわらず、「大阪王将 羽根つき餃子」を選ぶときがあるのは、パッケージの「秘伝のたれ」や「大阪王将特製 香りとコクの隠し味」という「おいしそうなうたい文句」が、空腹感にササっているからのような気がする。
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