語学学習アプリにおいてキャラクターは必ずしも不可欠な要素ではない。にもかかわらず、Duolingoはキャラクターをブランド戦略の重要な要素として位置づけている。
水谷氏は、ブランドにおけるキャラクターの役割は大きく3つあると話す。
まずは、ブランドの世界観を体現する存在としての役割だ。ブランドを「人格化」したキャラクターたちがアプリの至るところに登場することで、ユーザーはDuolingoの世界観に没入しやすくなる。
次に、学習の継続を促す役割がある。キャラクターたちは、ユーザーに毎日学習することを促すため、プッシュ通知やアプリ画面で「圧」をかけてくる。
学習の連続記録が途絶えそうになると、「連続記録がなくなる」というプッシュ通知が届き、アプリのホーム画面やウィジェットに怒りの表情を浮かべたデュオが現れる。また、アプリを開かない期間が続くと、プッシュ通知で送られてくるキャラクターからのメッセージが情緒不安定になっていく。このような仕組みでユーザーに継続的な学習を促している。
そして3つ目の役割が、「自己開示」をしやすい雰囲気を生み出すこと。
その代表例が、キャラクターと自然な会話ができる対話型学習機能「リリーとビデオ通話」だ。この機能では、キャラクターであるリリーのパーソナリティーに基づいたAIモデルとビデオ通話でやり取りしながら、自由な会話の中で語学を学ぶことができる。
「リリーと友だちとして会話できる点が体験価値につながります。ユーザーが文法的なミスをしても、そこはあえて指摘せずに会話を進め、後で振り返りをするため、萎縮することなく自己開示できる設計になっています」(水谷氏)
この3点に加えて、SNSで公式アカウントや既存ユーザーがキャラクターについて投稿することで、キャラクターのファンになり、アプリをダウンロードするという新規獲得の流れもあるという。
Duolingoのキャラクターたちは世界中にファンを持つが、その中でも日本のファンには特徴がある。
「キャラクターが好きという気持ちはグローバル共通ですが、日本ではそこに『キャラクターたちを応援したい』という“推し活”の文脈が加わるのがユニークです」(水谷氏)
水谷氏は以前から、米国本社を含むグローバルチームに対し、「キャラクター大国」とも言われる日本でIPを軸にした戦略を取る意義を説明してきた。渋谷に開いたポップアップストアも、米国以外では日本が初めて。その試みもスムーズに承認が下りたという。
水谷氏は「日本ではキャラクターの愛され方に複数の“型”がある」と分析する。
型の1つ目は主に子ども向けに設計され、いずれユーザーが卒業するキャラクターだ。一定の年齢層に強く支持され、その熱は次世代へと受け継がれていく。
次に挙げられるのが、子ども向けでありながら大人になっても関係が続くキャラクターだ。この型では、家族2世代、3世代での接点が生まれ、キャラクターが生活文化の一部として定着していく。
最初から大人向けとして成立しているキャラクターの型もある。このグループは、推し活文脈で語られることも多い。
それぞれの型に応じてその後の成長戦略も異なるため、まずは、自社のIPがどの型に当てはまるかを考える必要がある。
日本市場でDuolingoのキャラクターたちをどの型に分類して戦略を進めていくのか、現在、グローバル本社に提案しているところだという。
水谷氏は今後、アニメ化・マンガ化や、ライセンスを活用した他社とのコラボグッズ発売など、積極的なIP戦略を検討していきたいと話す。
日本での成功事例を、グローバル市場に横展開する計画もある。日本でのIP展開の成果は、Duolingoがグローバルでキャラクタービジネスを拡張していく上での重要な足がかりとなりそうだ。
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