AIを組織に根付かせるには? インサイダー情報検知AIを、現場の抵抗なく進められたワケ(1/5 ページ)

» 2026年02月03日 08時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

筆者プロフィール:斎藤健二

金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


 資産運用会社では「情報共有」が罪になる。

 アナリストが取材で未公表の重要事実に触れ、それがファンドマネージャーに伝われば、公表されるまで当該銘柄は売買できなくなる。知りながら売買すれば金商法違反となるからだ。一般企業では美徳とされる情報共有が、資産運用の世界ではむしろ「違法行為」となりかねない。

 大和アセットマネジメントが、LegalOn Technologies(東京都渋谷区)と共同でインサイダー情報検知AIシステムの開発に着手した。アナリストの取材メモをAIがスクリーニングし、未公表の重要事実が含まれていないかを検知する仕組みだ。

 だが本稿の焦点は、その技術ではない。

大和アセットマネジメント法務コンプライアンス部審査課長の中川奈々氏(写真左、筆者撮影)

 「何時間分、何人分のコストを削減できたかを重視しているのではありません」──大和アセットマネジメント法務コンプライアンス部審査課長の中川奈々氏は、AI導入の目的をこう説明する。

 コスト削減ではなく、質の向上。この言葉の選び方に、AIを組織に定着させる本質が見えた。

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