「すぐやろう!」という姿勢は本来、素晴らしいことである。先延ばしにして仕事が滞るよりずっといい。
しかし問題は、新しい仕事が入るたびに今やっていることを中断してしまう点だ。LIFOマネジャーは「即行動」と「割り込み対応」を混同している。部下から相談されればすぐ対応し、上司から指示が来ればすぐ着手する。一見すると仕事が速いように見える。
だが実態は違う。ひとつの仕事を完了させる前に次の仕事に手をつけるため、完了した仕事の数が圧倒的に少ないのだ。動いている割には片付かない。これがLIFOマネジャーの典型的なパターンである。
私がコンサルティングで関わったある製造業の部長も、まさにこのタイプだった。
「横山さん、私は誰よりも働いているんです。朝7時に出社して、夜10時まで会社にいる。それなのに仕事が終わらない。部下からは『部長、あの件どうなりました?』と何度も聞かれる。正直、何がどこまで進んでいるのか、自分でも分からなくなってきました」
話を聞いてみると、この部長は1日に平均5件もの新しい仕事を「着手」をしていた。しかし「完了」は2〜3件しかない。残りの3件は翌日以降に持ち越される。翌日また新しい仕事が5件近く入ってくる。こうして未完了の仕事が雪だるま式に膨らんでいったのだ。
問題は本人だけにとどまらない。LIFOマネジャーがいると、組織全体の生産性が下がる。
まず、部下が振り回される。マネジャーが「これを最優先でやってくれ」と指示を出す。部下が取りかかった途端、「やっぱりこっちを先にやってくれ」と変更が入る。部下は混乱し、モチベーションが下がっていく。「どうせまた変わるんでしょ」と、指示を真剣に受け止めなくなるのだ。
次に、関係者との信頼関係が崩れる。「来週までに回答します」と言っておきながら、別の仕事に追われて期限を守れない。一度や二度なら許されるかもしれないが、これが続くと「あの人の言うことは当てにならない」と思われるようになる。
さらに、チーム全体の仕事の質が下がる。中途半端な状態で放置された仕事は、時間が経つほど状況が変わる。再開したときには最初から確認し直さなければならない。二度手間、三度手間が発生し、効率が著しく低下するのだ。
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