長引くコロナ禍の影響は、人々の生活様式を変貌させた。それはビジネスパーソンの働き方もしかり。「働く場所=会社のオフィス」が当たり前だった世界は消え、テレワークが浸透した現代では、オフィスだけでなく自宅、コワーキングスペース、シェアオフィス、カフェに至るまで“働く場”は多様化している。
この連載では、“働く場”の再定義が余儀なくされた現代において会社がどう対応するべきか。先進的な取り組みを行う企業を紹介していく。
東京・渋谷の街を見下ろす高層階で作りたてのランチを無料で味わい、仕事の合間にはプロのマッサージで疲れを癒やす――。GMOインターネットグループの第1・第2本社には、一般的なオフィスとは異なる風景が広がっている。
こうした環境の背景にあるのが、同社が重視する「健康経営」だ。GMOインターネットグループは2022年に「健康経営宣言」を発表し、従業員の健康維持・増進に取り組むことで、100年単位で続く企業グループを目指している。
その考え方を体現するオフィスには、24時間ジムやマッサージ施設、社員食堂、託児所といった福利厚生がそろう。本社を訪れ、健康経営を支える数々の仕掛けと、その実態を取材した。
「点在していたグループ各社の力を1つに集約して、シナジーを最大化したかった」
2019年に、複合施設・渋谷フクラス内にオフィスを増設した理由について、グループ総務部長の佐山祐太氏はこう語る。
1991年に設立したGMOインターネットグループは、事業拡大に伴い2001年に渋谷のセルリアンタワーに本社を移転。その後、グループ会社が増えるに従ってセルリアンタワーだけでは収まらず、渋谷周辺の駅ビルに拠点が点在する形に。これではグループ間のシナジーが生まれにくいと、懸念を抱いていたという。
【訂正:2026年2月10日18時52分 初出で「1999年」と表記しておりましたが、「1991年」に修正しました。】
そこで、金融・決済系のグループ会社を中心とした各社の集約を目的とし、第1本社であるセルリアンタワーに加え、第2本社を渋谷フクラスに構える2棟体制にすることにした。
数年にわたる増設プロジェクトは、各グループ会社の総務部を中心としたチームが主導。従業員の意見を積極的に取り入れながら推進した。
第2本社15階のフクラス総合受付でまず目を引くのは、多くのアート作品だ。これは代表の熊谷正寿氏が私蔵するコレクションで、現代美術家のジュリアン・オピーの作品が陳列されている。
同フロアには会議室もあり、当日でもすぐに利用できる。会議室の予約は5分単位で可能だ。
「以前は、30分単位でしか予約できなかったので、会議が早く終わってしまうと誰も利用していない時間帯が生まれていました。そこで、約2年前から5分単位で予約できるよう仕組みを変更しました。回転率が上がり、会議室の使い勝手もよくなったと従業員から好評です。また、10分経っても入室ボタンが押されないと自動的にキャンセルする仕組みを構築して、予約したけれど使わない“空予約”を対策しています」(グループ総務部 福利厚生チームの山本沙織氏)
フロアにはコンシェルジュカウンターもあり、従業員は宅急便や退職者に送る花などの手配が可能。クリーニングの代行サービスも受けられる。
総合受付を抜けた先にはトレーニングジム「GMO OLYMPIA」がある。GMOグループの従業員なら土日祝も含めた24時間365日、ランニングマシンや筋力トレーニング機器などを自由に使える。シャワールームも無料で使用可能だ。
「移転前は会社近くのジムに個人で入会していたが、解約して会社のジムを使用するようになった人もいるぐらいです。マシンも従業員の要望があり充実していきました」(山本氏)
また、ジムではイベントも頻繁に開催している。直近も有志が集まり、コロンビアのあるダンサーによって創作されたフィットネス・プログラム「ズンバ」で汗を流したという。
「GMO OLYMPIA」に隣接するのは「GMO Bali Relax」。ここには、プロのマッサージ師が常駐しており、11〜20時に低価格かつ30分単位で施術を受けられる。常に予約が埋まっている人気ぶりだという。
なお「GMO Bali Relax」は第1本社であるセルリアンタワーの10階にも用意されており、こちらは仮眠ができるスペースもある。従業員がちょっとした空き時間に、施術を受けたり、仮眠したりとリフレッシュするのに役立っている。
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