アコーは従業員のことを「ハーティスト」(ハート+アーティスト)と呼ぶ。ホテル数の増加に伴い、2019年は1250人だった従業員数が、2025年には4000人以上まで急増した。企業は急成長をすると、どの業界でも人材教育が追いつかないケースがある。
「当社は『アカデミー』と呼んでいますが、ブランドトレーニング、オンボーディングなど、毎月、いろいろなトレーニングを実施しています。正直なところ、急成長したことによって少々、サービスに乱れが生じることがないわけではありません。そこは、日々の業務でお客さまから学ぶのが一番だと思っていますが、私たち経営層が、ベストなトレーニングプログラムを作らないといけないと考えています」
今後の目玉は、2028年の「ラッフルズ東京」開業だ。同ブランドは1887年にシンガポールで誕生。作家・村上龍の長編小説『ラッフルズホテル』の舞台にもなった。
ラグジュアリーホテルでは、2025年7月に「フェアモント東京」をオープンさせている。
「これまで日本市場では3つ星ホテルを中心に展開してきました。これからはラグジュアリー層へのフォーカスを強めます。ラッフルズは日本人の認知度も高く、フェアモントを含め日本にフィットしたブランドだと確信しています」
ラグジュアリーブランドの拡充は、ポイントプログラムの活性化にも寄与する。「ラッフルズなどの憧れのホテルに、ためたポイントで泊まる」という目標を会員に提示することで、グループ全体の利用頻度を高める狙いだ。
「両ホテルは、人々に夢を与えるホテルです。ラッフルズに宿泊することを目指して、(傘下のホテルに宿泊して)ポイントをためる会員の方もいるくらいです」
また、広島に開業する東急ステイ メルキュール 広島では、客室内に洗濯機やキッチンを備え、長期滞在ニーズに応える。同社が運営する国内ホテルの平均滞在日数は1.5泊で、日本人客の滞在期間が一番長いのは沖縄の平均約3.5泊だという。広島でも同様に平均滞在日数の引き上げを狙う。
今後の課題は、日本国内におけるALL Accorのアクティブユーザー拡大だ。登録者数は多い一方、日常的な利用率にはまだ伸びしろがある。
解決策の一つとして検討しているのが、クレジットカードの創設だ。「クレジットカードを通じてポイントがたまる仕組みを整えれば、利便性が向上し、アクティブユーザーを増やせる可能性が高まります。クレジットカードには保有すること自体がステータスという一面もあります。真剣に検討しなければなりません」
ALL Accor成功のカギは、航空会社のマイレージプログラムのように、生活に密着した存在になれるかどうかにある。日本市場を深く理解するダニエルズ社長が仕掛ける今後の戦略に注目だ。
メンバーシッププログラムの「リミットレスエクスペリエンス」の様子(左からフランスのジャーナリストであるフローラン・ダバディ氏、スペシャルゲストの松岡修造氏、大会アンバサダーである錦織圭氏を迎えたトークセッションの様子。2024年11月撮影:武田信晃)
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