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Sora2の熱狂から4カ月 依然として「ChatGPT Pulse」が過小評価されている理由

» 2026年02月20日 08時00分 公開
[湯川鶴章、エクサウィザーズ AI新聞編集長]
ExaWizards

 米OpenAIのSora2とChatGPT Pulseがリリースされて4カ月が経過した。Sora2の方は、多くの人が動画を生成してSNSに投稿して大きな話題になった。

 一方のChatGPT Pulseは能動的に情報を提供してくれる技術で、今は有料のProユーザーしか使えないこともあって、依然として話題になっていない。

 私は社会により大きな影響を与えるのはChatGPT Pulseの方だと思う。このことに気付いている人は、多くない。

米OpenAIのSora2とChatGPT Pulse。どちらが後の時代に影響を与えるか(写真提供:ゲッティイメージズ)

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「指示待ち」からの脱却 文脈を読み先回りする「能動的AI」

 Pulseの「能動的」というところが実はミソだ。これまでのChatGPTは「呼びかけに応じて答える」受動的なAIだった。Pulseはその逆で、状況を理解して先に提案する能動的AIだ。つまり、ユーザーの問いを待たずに、行動の文脈を読み取って声をかけてくる。

 今は、ユーザーの嗜好(しこう)を理解して朝にニュースダイジェストを表示することぐらいしかできないけれど、この技術はOpenAIが2026年内に発売を予定しているポータブルデバイスに搭載されることになると思う。

「保険証持った?」が日常に 次世代専用デバイスと融合するPulse

 新デバイスは、常に周りの状況を把握して、タイムリーな情報を能動的に提供してくれるようになると言われているが、まさにPulseがその中心技術になるのだと思う。

 例えば予定表を把握しているので、午後から歯医者のアポがあることを知っていて、ユーザーが朝、会社へ行こうとして玄関を出ようとすると「月初めだから保険証がいるよ。保険証持った?」と聞いてくれるようになると思う。

画面もアプリもいらない 「音声×触感」で操作する新パラダイム

 このデバイスについてはまだ詳細が明らかになっていないが、OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)氏のこれまでの「スマートグラスでもウェアラブルデバイスでもない」といった発言から、ポケットに入れたり、机の上に置けるような小型デバイスになる可能性が高い。また「タッチスクリーンとアプリというパラダイムとは異なるパラダイム」という発言から、音声で指図するデバイスになるもよう。

 このほか搭載されるパーツとしては、マイク、カメラ、加速度計、GPS、環境センサー(光、温度)、スピーカーなどが有力。触るとカチカチという触感のあるハプティックダイヤルという技術も搭載される可能性があると言われている。

 ディスプレイはついておらず、画面表示が必要なときには近くのスマホやPCと連動するようになると見られている。用途としては、能動的個人秘書、スマートホームコントローラー、ウエルネスモニター、通訳、相談相手などになりそうだ。

 つまりこのデバイスは、秘書のような存在になり、スマホを単なるスクリーンデバイスの地位に追いやる可能性があるわけだ。

ChatGPT以上のインパクト アルトマンが「1億台即売」と豪語する理由

 また今はまだデジタル環境の中で活躍することが多いAIを、リアル環境に持ち出す役割も果たす。リアル環境の学習データを集めるデバイスになり、AIがさらに進化することにもなる。

 アルトマン氏は、過去発売されたどのデバイスよりも短時間で1億台を売り上げるだろうと予測している。また同氏は2025年春の社内ミーティングで、社員に向けて「このプロジェクトはOpenAIの歴史の中で最大のチャンスだ」と語ったという。ChatGPTの時よりも大きなインパクトを社会に与える可能性があると、同氏は考えているのかもしれない。

米OpenAIのサム・アルトマンCEOは2025年春の社内ミーティングで、社員に向けて「このプロジェクトはOpenAIの歴史の中で最大のチャンスだ」と語ったという(2023年6月、東京・慶応義塾大学にて撮影:武田信晃)

本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「注目すべきはSora2よりもChatGPT Pulse」(2025年10月7日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。

著者プロフィール

湯川鶴章

AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。


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