「脱・永守イズム」を完遂できるのか 不適切会計で揺れるニデックの会見から透けて見える「不安」(4/5 ページ)

» 2026年02月25日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

上場廃止も選択肢ではあるが……

 もちろん上場を廃止すればJPXの指導から逃れ、望むならば永守体制を維持することも可能です。しかしそれには、一般株主に対するTOBの実施が必須であり、ばく大な株式買取資金が必要になるので現実的とは言い難いでしょう。結果的にJPXの改善指導から逃げることにもなり、企業モラル的にどうなのかという問題も残ります。

 改善計画が軌道に乗らなかった場合、指定1年後に東証からの強制退場という措置も考えられます。しかしこのケースでは、強制的な退場に伴う株主利益の喪失という問題が発生します。株主代表訴訟リスクが大きくなるので、基本的には避けなくてはならないでしょう。このように見てくると、JPXが強く求めるであろう創業者でカリスマ経営者である永守氏の影響力の完全排除は、非常に険しい道であると言わざるを得ないのです。

 仮に永守氏の影響力を完全排除できたとして、内部管理体制の再構築も形式を整えればよいという話ではありません。今回の改善計画には、基本的にガバナンス強化に向けた管理体制の整備策が具体的に示されてはいます。しかし問題は、いかにこの改革に魂を入れることができるかなのです。

 JPXはその点についても、突っ込んだ要求をしてくるでしょう。具体的には、まずカリスマ経営者の息のかかった役員の経営陣からの排除です。JPXには、改善計画完遂までの猶予期間となる1年間に、永守氏が引き上げその方針に同調してきた役員の解任は必須という考え方があるからです。

 すなわち、永守氏が後継指名した岸田光哉現社長の退任も含め、社内、社外ともに永守氏の息がかかっていない取締役で構成される新経営体制の再構築が、最低限求められることになると思われます。M&Aを重ねて70社以上もの企業を買収して形成された企業グループを、永守氏の直系ではない新体制で管理していくことは、これまた非常に険しい道であると言わざるを得ません。

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