生成AIの本義は「自動化」にあらず 今こそ広告業界が考えるべきポイントとは?(2/4 ページ)

» 2026年02月27日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

生成AIの本質は「思考プロセスの拡張」にあり

 生成AIの影響をあらためて整理してみましょう。

広告業界へのプラス影響

  • 制作スピードとコストの大幅削減
  • 広告コピー、画像、動画の大量生成によるA/Bテストの高度化
  • 営業トークの構造化による再現性(商談の音源分析による改善点の定量化など)と組織内共有の加速
  • 営業・企画・マーケ・デザインにおけるベストモデルの可視化と評価制度の刷新
  • 市場調査・競合分析の効率化と情報整理の高度化
  • 広告データやCRMデータの横断分析による示唆の抽出
  • 戦略立案の壁打ち・仮説生成の高速化
  • パーソナライズ広告の精度向上
  • 少人数運用モデルの実現
  • 分析力、構想力の底上げ

広告業界へのマイナス影響

  • 戦略、調査、デザイン・動画作成、コーディングのクライアントによる内製化の加速
  • クリエイティブの均質化と差別化の難化(AIらしい無難な表現の増加)
  • 制作単価の下落と代理店収益モデルの圧迫
  • 若手人材を育成する機会の減少
  • スキルの二極化と組織構造再設計の必要性
  • AI依存による思考停止リスク
  • ブランドき損リスク(不自然さ・倫理問題)
  • 著作権、学習データを巡る法的課題
  • 誤情報の生成や不適切表現のリスク
  • 広告のコモディティ化

 制作や営業の効率化は分かりやすいプラスですが、生成AIのより本質的な影響は「思考プロセスの拡張」にあります。

 市場調査の場面を考えてみましょう。競合サイトやSNS上での言及、レビュー、業界ニュース、公開データなど、従来であれば時間と人手を要した膨大な情報の整理が短時間でできるようになるだけでなく、論点ごとに構造化し、仮説の候補を提示できるようになります。

 その結果、人間はゼロから整理するのではなく、AIが提示した構造を叩き台に深掘りできるようになるでしょう。リサーチの回数と検証スピードが増え、仮説の精度が高まる可能性もあります。ただし、その設計を行うにはどのような要素を生成AIに求めればよいか、ディレクションする人間の知見が問われます。

 分析でも同様です。広告データ、CRMデータ、アクセスログ、商談記録などを横断的に読み解き「なぜ成果が出たのか」「なぜ失注したのか」といった因果仮説を提示させられますが、AIの示唆が常に正しいわけではありません。あくまで人間の視野を広げる補助線としては有効であり、従来はアナリストに依存していた初期の分析が、現場レベルでも可能になると認識するのが良いでしょう。

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