生成AIの本義は「自動化」にあらず 今こそ広告業界が考えるべきポイントとは?(3/4 ページ)

» 2026年02月27日 05時00分 公開
[佐久間 俊一ITmedia]

生成AIは「突出」できないことが多い

 戦略設計も変わります。市場環境、競合動向、顧客ペルソナ、価格帯、チャネル特性といった条件を入力すれば、複数のポジショニング案やコミュニケーション戦略案が生成できます。顧客ペルソナをAIで生成し、そのターゲットに対してAIが起案した施策をぶつけてみたらどのような成果が見込まれるかを予測する――そのようなアプローチも既に行われています。

 生成AIは「完成形の戦略」を提示するわけではありませんが、検討の出発点としては十分機能します。「この戦略の弱点は何か」「別の切り口はあるか」と問い続けることで、戦略の質を高める壁打ち相手として役立ちます。

生成AIに「完成形」を求めてはいけない(同前)

 一方で、効率化と拡張の裏側にはリスクも存在します。生成AIは平均点を出すことに長けていますが、突出した個性や文脈に深く根差した表現を生み出すことが得意とは限りません。無難で整った、しかし印象に残らない広告が増える可能性があります。量産が容易になるほど差別化は難しくなり、広告がコモディティ化する懸念もあるでしょう。

 若手人材の育成機会が減少するリスクもあります。これまで下積みとして担ってきた制作業務が自動化されれば、経験を積む場が縮小する可能性があるからです。AIを使いこなせる人材とそうでない人材の差は拡大し、スキルの二極化が進むかもしれません。

 ブランドき損や倫理的な問題も避けて通れません。AIで生成した広告への違和感、学習データを巡る著作権問題、表現の不適切さなど、信頼を損なうリスクが常に存在します。効率を追求するほど、慎重な設計と判断が求められます。

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