結局のところ、生成AIは「広告を自動化する技術」というよりも、私たちの思考を拡張する技術だといえるでしょう。ただし、その拡張は無条件ではありません。どのデータを入力するのか、どの問いを投げるのか、どの仮説を採用するのか、どこで人間が最終判断を下すのか。これらを設計できる力がなければ、AIの出力は単なる平均値にとどまります。
これからの広告関係者に求められるのは、制作能力そのもの以上に、AIを前提とした構想力と設計力と判断力なのかもしれません。生成AIを的確に活用し、自身のアイデアや仮説と組み合わせながら、適切な設計、判断、アクションにつなげる。そして、今以上に独自性を発揮されることが求められていくのではないでしょうか。構造化や標準化、量産化は生成AIによって飛躍的に発展しても、そこに個性や独自性という観点が備わっていなければ人の心に響く広告にはなりません。
効率化の先にあるのは、広告の再定義です。速く・安く・大量に作れる世界で、何が人の心を動かすのか。生成AIは広告を便利にする技術であると同時に、広告の意味を問い直す着火点でもあります。広告業界に求められる人的価値とは何か、業界は今、それを再定義する分岐点に立っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
城北宣広株式会社(広告業)社外取締役
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
「代理店・AI任せ」のマーケターが陥る“勘違い” 広告設計における「順序」の重要性とは
ファミマ、広告関連の売上400億円へ 細見社長「コンビニはメディアに進化」Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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