ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 夏では、各分野の第一人者や企業の現場でビジネス変革に取り組むリーダーの声を通じて、経営×IT×現場のコラボレーションで全社変革を進めるヒントをお届けします。
AIを活用したデジタル戦略が必須となる中、ダイハツ工業や旭化成、NOT A HOTELなどビジネス変革に取り組む企業の「当事者の声」を通じて、現場のリアルな課題解決方法を探ります。視聴登録はこちらから。
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
先日、スーパーのセルフレジで買い物をしていて、ちょっとショックを受けたことがある。ご存じのように、こういう場所にはだいたい係員が1人いるものだが、このスーパーではなんと2人配置されていて、そのうちの1人は、筆者が商品をスキャンして袋詰めしている間、背後に立って手元をじっと見ていた。要するに、「万引きチェック」をされていたのだ。
犯人扱いされているようで、あまりいい気分はしなかったのだが、店側の苦境を知れば、これも仕方がない。今、「セルフレジでの万引き」が大きな社会問題になっているからだ。
例えば、6月16日放映の『クローズアップ現代』(NHK)によれば、静岡県で10店舗以上を展開するスーパーが3年前にセルフレジを導入したところ、万引き件数がなんと4倍に増加。被害額は年間500万円に上ったという。
こうした事態を招いた要因となったのが、商品を読み取らずに袋へ入れる「セルフレジでの万引き」だ。この犯罪行為が悪質なところは、万引きGメンに声をかけられても「あれ? スキャンし忘れちゃったよ」などと、言い逃れができてしまうことだ。こうした構造的な問題もあって、このスーパーでは新しくオープンする店舗ではセルフレジを導入しないことに決めたという。多額の設備投資をしたにもかかわらず万引き被害が増え、監視スタッフまで確保する必要があり、有人レジのほうがメリットが大きいと判断した。
ただ、このような問題が起きることは、ある程度予想されていた。日本より早くセルフレジが普及した米国でも同様の問題が深刻化し、なんと被害額が年間7兆4000億円にも上って、有人レジに切り替える動きが広がっているからだ。ディスカウントストア大手のダラー・ゼネラルでは、約2万店のうち1万2000店でセルフレジを撤去した。
「客は適切に精算し、不正をしない」という前提で普及が進んだセルフレジだが、実はそのような「性善説に基づくシステム」は、いざ運用してみても、うまく機能せず、かえって事態を悪化させるケースが少なくない。
分かりやすい例は「リモートワーク」である。
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