法人税が高いと議論になることもあるが、日本では企業の6割超が法人税を納めていない。「赤字企業」だからだ。
国税庁が2021年3月26日に公表した『国税庁統計法人税表』(2019年度)によれば、全国の普通法人276万7336社のうち、赤字法人(欠損法人)は181万2332社。赤字法人率は65.4%となっている。そして、この多くは中小企業だ。日本企業の99.7%は中小企業で、大企業はわずか0.3%だからだ。
「中小企業なら経営が苦しいからしょうがない」となるだろうが、ここまで赤字企業が多いのは、他の先進国と比べても異例だ。
そこで浮かび上がるのが「意図的な赤字決算」疑惑だ。読者の中にも、周囲の中小企業経営者で「経営が苦しい」「人手不足で大変だよ」と愚痴りながらも、ベンツやアルファードを乗り回して、キャバクラで豪遊している社長を見かけたことがあるだろう。
個人経営の会社などでは自家用車を社用車として扱ったり、飲食代を経費として計上したり、妻や子どもを役員にして報酬を払うなどして、利益を圧縮して赤字決算にするケースもある。
財政金融委員会調査室の報告書『中小企業を巡る税制の現状と課題』でも、中小企業の税制問題の特徴として「赤字法人問題」を挙げて、「赤字を出しながら経済活動が維持できる理由について純粋な疑問も生じる」「赤字法人問題は所得操作など税務戦略が作用しているとの指摘は絶えない」などの問題提起をしている。
もちろん、財政金融委員会調査室が指摘するように、多くの企業が「所得操作」をやって赤字企業を装っていたとして、それはそこまでの「悪事」なのかという問題もあるだろう。「小さな会社がこの厳しい時代に生き残っていくには、これくらいのズルは大目に見るべきだ」「物価高騰の中で社員に給料を払っていくためにも、そもそも法人税なんて払う必要がないだろ」というような、一定の理解を示す意見も少なくないだろう。
ただ、どのような事情があったとしても、これが「ちょっとしたズルやごまかし」に当たるという事実は変わらない。納税者自身が所得や税額を計算して申告する申告納税制度は、「性善説に基づくシステム」の最たるものだ。そのため、正直に所得を申告して納税する人がいる一方、不正をする機会があれば、所得を少なく申告しようとする人も一定数出てくる。
「企業の6割超が法人税を納めていない」という事実は、こうした現実を端的に浮かび上がらせている。
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