こうした二重価格の是非は、このところよく話題になりがちで、「差別ではないか」という声がある一方で、「海外では普通」との反応も見られる。また、オーバーツーリズム(観光公害)の文脈から、旅行者とそれ以外の扱いを分けても仕方ないという風潮は、日に日に強まっている。
最近では、立ち食いそばチェーン「富士そば」の店舗で、「旅行者の方は、ランチタイムの来店をご遠慮ください。当店は、この近辺で働く人たち・学ぶ人たちを優先します」との張り紙が掲示されていたと話題になった。
ただ、こちらに対しては、スピーディーな提供が求められる業態ということもあり、好意的な意見が多い印象だ。
このように、あらゆる店や施設において、二重価格や扱いの差が目立つようになった。そこに加えて、昨今よく聞かれるようになった、自国優先・排外主義的な価値観も相まって、区別して差を設けることに対しては、一定の支持が広がっている。
そこで気になるのが、そもそも何をもって「それ以外」を定義するかだ。たとえ区別したとしても、その判断基準に妥当性があれば、違和感なく受け入れられるのではないか。大切なのは「その差別化に文脈があるか」である。
例えば姫路城の場合は、ひとまず「姫路市民」と「市民以外」に分類した。これは本人確認書類で、すぐに判断できる。また、市が管理・運営を行っていることから、市民に対しての住民サービスとして、安価に設定することには妥当性がある。
このような「市民割引」は、公共施設であれば、納税者への還元といった意図が読み取れ、一般店舗であっても近隣に生活するリピーター確保を目的としているのだろうと推測できる。そのため、仮に価格差を付けても、大きな反発が起きにくいと考えられる。
納得できる理由の存在は、排除やペナルティー的な印象を薄める。富士そばの施策が好意的に受け止められているのも、ここがポイントになっているのだろう。仕事の合間に、ちゃちゃっと空腹を満たすことが主目的の店舗であり、「旅先でグルメを楽しむ」といった用途は本来想定されていない。本末転倒にならないように、「お願い」ベースで打診している点がプラスに働いているのではないか。
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