「深夜料金の導入」と「飲食ファストパス」は、別々の話題に見えるかもしれない。しかし、どちらも「時間をお金で買う」システムという点では共通している。お客は、深夜に働く人の時間をお金で買ったり、待ち時間をお金で買って短縮したりする。
これまでチェーン店といえば、「いつでも安く」が原則であった。しかし、そこにコスト上昇などを背景に「時間をお金で買う」発想が浸透してきている。
この流れは、もちろん昨今の状況を反映してのものだが、社会学では、こうした状況が長らく予測されてきた。社会学者のジョージ・リッツァは、現代社会がマクドナルドを代表とするファストフード店の仕組みに大きく影響を受けていることを述べている(『マクドナルド化する社会』〈早稲田大学出版部〉)。
リッツァは、その要素をいくつかに分類しているが、その一つに「計算可能性(calculability:量的に計算できること)」という要素がある。これは、さまざまなものが金銭的価値という「見える」指標に変換され、量的な数値が重視される、という考え方だ。
日本では「おもてなし」といった言葉に象徴されるように、外食産業においても、目に見えない価値を重視する傾向が強かった。それが「お値段据え置きで、深夜までがんばる」「わざわざ並んでくれている人には、平等に接する」といった状態として表れてきた。
しかし、人手不足やコスト増が続く中、それだけでは運営が成り立ちにくい場面が増えている。その中で、リッツァが述べたような「時間」を「お金」に変えていく発想が自然と広がってきたのであろう。彼がそのことを予期したのは30年ほど前だが、その原理は社会に驚くほど浸透している。その意味では、深夜料金も飲食ファストパスも今後、どんどん広がっていくだろう。
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