市民開発者制度の旗振り役は、総務部を中心とした「社内DX推進チーム」だ。秋葉氏は「社内DX活動は、お金をかけずに、専門部署ではない現場社員が自らの業務を改善するという考え方が根本にある」と説明する。
IT部門に依頼したり外注したりすると、時間やコストがかかるだけでなく、業務内容を理解してもらうための説明から始めなければならない。経営層やIT部門からは、現場が抱える課題も見えにくい。そこで、現場社員自身が課題を把握し、自ら解決する仕組みが重要になった。
市民開発者の事例が増えることで、業務効率化の手段の一つとして社内に理解が広がった。「自分のために作ったアプリがうまく動く」という成功体験が周囲を巻き込み、さまざまな部署に広がる好循環が生まれた。
全社的に大きな注目を集めたのが「運転日報のデジタル化」だ。社用車の走行記録やガソリン代を紙に記入し、レシートを貼って精算していた営業部署の作業をアプリで自動化した。市民開発者による取り組みではなかったものの、全国のスタッフが活用したことで「アプリでここまでできる」という理解が浸透した事例となった。
2024年度からは組織評価に組み込み、インセンティブも設定した。成功事例の共有や全社表彰を通じ、DX活動をさらに後押ししている。各部署には「DXアンバサダー」と呼ばれる社員を配置することで、情報発信やメンバーの挑戦を促している。
「これまで苦手意識があった人も『まずちょっと手を出してみよう』という形で取り組み始めた結果、やってみたら意外と面白いと感じ、スキルが上がったケースも多い。手を出す前に避けていた人に対しても、各組織でDXアンバサダーなどが挑戦を促してくれている」という。
特に営業部署からの参加が目立つ。報告書作成や書類業務の多さに課題を感じ、自ら必要性を認識して取り組んでいる事例が多いという。「業務時間を削減できた分、本来やるべき仕事に時間を充てられるようになった」という声も寄せられている。
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